drumlogueには結構多くのパラメータがあるのだが、そのほとんどはメニューから選択しないと変更できない。
マニュアルにはパラメータの説明はあるが、テキストで書き下してあるだけで一覧性に乏しい。
なのでパラメータの一覧表を作ってみた。
表の左上の、白抜き文字になっているパラメータはノブに割り当てられている。それ以外のパラメータはメニューからアクセスする必要がある。
スクリーンには一度に最大4つのパラメータが横に並んで表示され、それぞれスクリーンの下の4つのノブで変更できる。
ただし、ノブをいじらないと画面がすぐにシーケンス表示に戻ってしまうのが若干鬱陶しい。このシーケンスに戻るまでの時間はグローバルパラメータで変更できるようにしてほしいところだ。
以下、パラメータについて若干補足。
アナログ系はキック、スネア、LT/MTの4音。HTもあったら良かったのになー。
キック PCM成分(トランジェント)がアタック成分としてミックスされる。transientはその音色、attackはその音量。
スネア ドラムの上面と下面にあたる2音分のオシレータがあり、音高のデチューン具合をtoneで設定できる。snappy(ノイズ成分)の音色をsnappy typeで選べる。
タム キック同様、PCM成分がアタック成分としてミックスされる。layerはその音色、attackはその音量。また、スネアと同じく2音が合成されており、デチューン具合をdetuneで設定する。
PCM系は6音。違う名前でアクセスできるようになっているが、実質的には同じものだ。
ハイハット系とハンドクラップのみディケイタイムをノブに割り当てているので、若干パラメータの並びが違っているが、基本的には
・音色選択(bank/sample)
・±2オクターブの音高設定(tune)
・AMP EG(attack/decay)
・サンプルポイント(start/end)
となっている。
サンプル用のメモリが32MBしかないので、サンプル再生にループ設定ができたほうがいいのではと思う。このへんはファームウェアアップデートに期待。
最後にデジタルマルチエンジン。
VPMは簡易FMで、キャリア波形の位相をモジュレータ波形で変調する。
minilogue xdなどにも搭載されているが、drumlogueはキャリア波形にサイン波しか選択できない。パラメータとしては簡略化されていて、素のVPM(Variable Phase Modulation)になった感じ。
Presetが用意されており、ここで音色を選択すると他の(Tone以外の)パラメータが設定される。
Noiseはあまり特筆することは無い。「サンプリング・レート・デシメーションを利用したノイズ音源」というのがちょっと謎なのだが、普通のノイズ音のような気がする。ダウンサンプリングによってローパスフィルタのような効果を出しているっぽい。
ユーザオシレータのパラメータはオシレータに完全に依存する。
なお、デジタルマルチエンジンには、PCM系のようなフィルタ/AMP EGがデフォルトでは用意されていないので、これらのパラメータもオシレータの実装に依存する。
今のところ、全体的な印象をまとめると、以下のような感じ。
・スネアやタムにオシレータが2面あるので、重ねるとけっこう厚みのある音になる。
・さらにVPMで低いサイン波をミックスすればかなり重い音も作れる。
・PCMは飛び道具的なものはない一般的なもの。ユーザサンプルが追加できるので問題は無い。
・デジタルマルチエンジンは、デジタルのドラムマシンならではのものが無く、ちょっと物足りない。ER-1⇒Volca Drum⇒drumlogueという流れでのデジタルパーカッションシンセサイザを、みんな期待していたと思うんだけどね。
logueシリーズらしく、どの音も悪くなくて音作りも分かりやすい。かつ、結構作りこみができるだけのパラメータが用意されており、他のドラムマシン(Digitaktを除く)よりも幅の広い音を作れそうな感じだ。
いじりがいのある機材なのだが、現状、drumlogueならではの尖った音がまだ無いのがちょっと辛い所かな。
7万円近く出すのなら、中古も含めていろいろ選択肢があるが、そこでdrumlogueを選ばせる「推しの音」は今はまだ無い。
レビューでは、「将来300ドルでセールされても驚かない」という意見もあったが、まあminilogue xdが5万円近辺まで下がったことはあったから、それを考えるとバーゲンで4万円代後半というのはあり得るかもしれない。
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