DRCで機器・部屋の音響特性の補正をしてみる(2)

まず、DRCをWindows上で行うために必要なツールを紹介する。

DRCを行うための、補正用フィルタf^-1の生成は、オープンソースで開発されているdrcを使用する。

DRC: Digital Room Correction

drcは、音場のインパルス応答fを与えると、f^-1のインパルス応答を出力してくれる。
Linux用だが、Windowsのコマンドプロンプトで動作するバイナリが、あとで紹介する別のサイトから入手できる。

Windows上での音場のインパルス応答の測定は、Rec_imp.win32というツールがある。
開発元のページはこちらだったらしいのだが、今はアクセスできなくなっている(アーカイブはこちら)。
これも別サイトから入手可能。

drcが生成するインパルス応答は、RAW形式(モノラル32ビットFloatのpcmファイル)だ。
RAWファイルをWAVファイルに変換するツールとしては、Audacityというフリーソフトがある。

Audacity: フリーのオーディオエディタ・レコーダー

他には、オープンソースで開発されているsoxという変換ツールが利用できる。
Linuxでは非常にメジャーなツールだが、今回の目的に使うだけであれば、Audacityのほうが楽だと思う。
以下で述べるようにAudacityは必ずしも必要ではないのだが、波形を見たりするのに便利なので入手しておくと良いと思う。

以上のツールをひとまとめにして配布しているサイトがある。
私が探した限りでは、以下の2つが入手できる。
いずれも同じ作者さんのもので、(B)のほうが新しいようだ。
Rec_imp.win32はオリジナルのサイトが消えてしまっているので、ここからダウンロードするのが手っ取り早い。

(A)RoomCorrectionパッケージ

Setting up DRC under Windows

drc3.1.0をベースにしたもの。
測定、フィルタ生成のためのバッチファイルと簡単な手順書つき。
RAW→WAV変換は付属していないので、Audacityが別途必要。

(B)DRCDesignerパッケージ

Digital Room Correction Designer Help

drc3.2.0をベースにしたもの。つまり(A)より若干バージョンが新しい。
測定、DRCで生成したい周波数特性の編集、フィルタ生成を行うためのGUIツールつき。
このツールは実態としては、(A)に含まれるバッチファイルを自動生成するためのツールで、やっている内容は(A)と特に変わらない。
soxも含まれているので、Audacityを使わずにWAVファイル生成まで可能。

私は(A)(B)の順で両方試したのだが、たまたま(A)で生成した補正フィルタの出来が良かったので、そちらを使用している。

普通の人は(B)を使うと良いと思う。
(A)に含まれるバッチファイルは、手作業での修正が若干必要なので、コマンドプロンプトやバッチファイルに慣れている人向きだ。

(B)に無くて(A)にあるのは、ECM8000の特性のファイルくらいだが、以下のサイトによると、このファイルは実際のECM8000の特性とは大幅に異なるらしいので、使用しないほうがいいかもしれない。(私は使っていない。)

DRC/Inguz and Microphone Calibration

なお参考までに、以下のサイトにはdrcやRec_imp.win32を直接使ってDRC用フィルタを生成する手順が解説されている。

Digital Room Correction

ある意味、上記(A)や(B)はこの手順に必要なツールと、手順を自動的に実行するためのツールをひとまとめにしたものだと言える。

なお、もともとdrcはLinux用のツールなので、Linuxに親しんでいる人には、たとえば以下のようなサイトのほうがかえって分かりやすいかもしれない。

Creating a DRC Room Correction Filter for your Squeezebox

というところで、実際の操作に入る前に、ちょっと力尽きてきたので、続きは次回。

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