ゲーム用HMDの期待の新星、Oculus Rift。
そのOculusを使ったVR作品のコンテスト「VR Jam」の入賞者が先日(9月19日)に発表された。
VR Jam – Oculus VR
その中で3位に入ったのが、「SightLine」という一種のアドベンチャーゲームだ。
不思議な異世界の中を探検するのだが、Oculus VRのおかげで、本当にその世界に行っちゃった感は半端ない。
まずは冒頭のビデオを見て欲しい。雰囲気がわかるだろう。
英語のナレーションは、台本がこちらに掲載されている。
SightLine Clipkey copy – Google Drive
このナレーションの、イントロのところをちょっとだけ訳してみよう。
かつて、ある哲学者が問うた。
音を耳にする者が一切居ない森の中で、木が倒れたら音はするのだろうか?
(木が倒れる音)
キッチンにテーブルがある。そこから目を離したとしよう。テーブルは、あなたが見ていない間もそこに存在しているのだろうか?
(テーブルが出現)
量子物理学は、この世界は不確定だと教えている。我々が観測できないでいる間に、素粒子は無から出現し、また消失する。
だが、あなたが見ていないなら・・・。どんなことでも起こりうる。
世界には法則が・・・物理法則があり、現実世界を束縛し、あなたが観察するものが常に一貫していることを保証している。
振り返れば、テーブルはまだそこにあるはずだ。
だが、もし・・・何かがこの法則を壊したならば? もし法則がもはや働いていなかったら、あなたが振り返ったとき・・・
どんなものでも、そこに存在しうる。
(ドアが出現)
これは、この法則がどう壊れているのかの物語。
(エレベーターに乗り込む)
あなたは「倒れたはずの木」の傍に居るかもしれない。
次の瞬間には、「広大な」森の中に居るかもしれない。
あるいは「巨大な」と言うほうが相応しいかもしれない。
(上階に到着)
世界を、近寄ってよく観察することを忘れないように。
先へ進むための助けになりそうなものを見つけなさい。
(フロアが動く)
けれど時には、ほんの少しの間、見ないこと、それが新しい可能性を拓くかもしれない。
なぜなら、あなたが見ていなければ、物事は変化することができる。
新しい道が、頼りなく揺らめく道かもしれないが、現れてくるかもしれないのだ。
アドベンチャーゲームと言ったが、要はゲーム内では、ある「フラグ」を立てると先のシーンに進めるようになっている。
そのフラグの立て方は、Oculus Riftの「周りを見廻せる」という効果とうまくリンクしている。
上記のイントロの世界観ともつながっているのだが、「不都合なことを発見し」「それが視界から消えるように顔を背け」「再び顔を元に向けてみる」と、世界が変化する(フラグが立つ)ようになっている。
ビデオの冒頭で、プレイヤーが右を向いたり左を向いたりするたびに、テーブルの上に置かれているものが変わっているのがわかるだろう。
これがこのゲームの世界での「法則」というわけだ。
最近の重厚長大なゲームに較べたら、ほんの小さなゲームだが、不思議な世界へ入り込んでいく感覚が素晴らしい。
また、HMDの没入感覚や、角度センサをうまく使いこなしていると思う。
こういった新しいユーザーインタフェースのゲームが、これからも登場するのが楽しみだ。
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