前記事で書いたように、結論から言うとSBCで十分だろうと思っているのだが、そのあたりをもう少し詳しく書いておく。
Bluetoothヘッドセットでスペックに書かれている「SBC」「AAC」「apt-X」はBluetoothの通信部分での音声データ圧縮のコーデックだ。
通常、どの製品も最低限SBCコーデックには対応している。
AACやaptXはSBCよりも高音質と言われているが、オプション規格なので、送信側・受信側共に対応していないと使えない。
しかし、SBCがAACやaptXに較べてハッキリと音質が劣るかというと、そこは微妙なところだ。
SBCはどんな製品にも搭載されている一方、AACやaptXは音質に拘る製品で搭載されていることが多い。
従って、AACやaptXに対応している製品は音質が良い可能性が高い一方、音質が悪い製品はほぼ必ずSBCを搭載している。
そうすると、音質が悪い製品はSBCのみを搭載していることが多いので、SBCの音質が悪いような印象を与えがちなのだが、実は音質の悪さの原因はその製品の「どこか」にあり、SBCだけが原因なのではない。
実際、今回購入したSBH50もSBCのみに対応しているが、音質の劣化は特に感じなかった。
SBCという技術単体での音質評価については、以下にSBCも含めた各種圧縮方式の音質を主観評価したデータがある。
これによると328KbpsのSBCのスコアは5.70となっており、人間が音質劣化を認識する限界の5.0を超えている。
従ってSBCでも十分に高い音質を実現できているはずだ。
Audio quality of encoders at 320 kbit/s – SoundExpert
以下は同じテストで、192Kbps CBRのmp3のスコアが5.60となっている。
328KbpsのSBCと192Kbps CBRのmp3はほぼ同等と言えるだろう。
Audio quality of encoders at 192 kbit/s – SoundExpert
実は私がXperia Z1f用で持ち運ぶためにエンコードした音楽データは192Kbps mp3なので、上記のデータを信頼するなら、このmp3ファイルをSBCではなくAACやaptXで送受信しても、音質は大して向上しないことになる。
mp3に圧縮した時点で生じた音質劣化が、送受信での圧縮により生じる音質劣化よりも大きいからだ。
もちろんmp3をSBCで送受信すれば、そこで再度圧縮・復号による劣化が生じるが、それはAACやaptXでも生じるので、程度の問題ということになる。
というわけで、屋外に持ち出して聴く程度の用途ならば、「品質の高いSBC」があればAACやaptXは必ずしも必要ないと思われる。
ただ、aptXはSBCやAACにはない「エラー訂正」機能があり、複数のBluetooth機器を同時に使用する場合など、効果が発揮される可能性はある。
また、リビングのオーディオなどで、無圧縮データを、良いアンプとスピーカーを使用したいというのであれば、AACやaptXが意味を持つ場合もあるかもしれない。
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