
1986年発売のローランドのシンセサイザー「αJuno-2」を入手した。
ジャンク品をオークションで5000円あまりで買ったのだが、送料もかかったし、ピッチベンダ故障、アフタータッチ故障、液晶バックライトのEL故障、音源1/6故障、傷多数、ということで、ジャンクとしてはちょっと高くついてしまった。
音源の故障は、まったく音が出ないわけではなく、音色が少し違って出るというもので、パーツの劣化かもしれない。
αJunoはローランドのJupiter/Junoシリーズ最後の製品で、これ以降ローランドはLA音源など完全デジタル音源へとシフトしていくことになる。
音源部分は、オシレータがデジタル制御のDCO。
DCOといっても、JunoシリーズはCPUやDSPで演算して作った波形をD/A変換しているわけではなく、周波数はクロックを分周して正確に生成するが、波形自体はその周波数でオペアンプをドライブしてアナログに生成されるそうだ。

下記の記事はJUNO-106のDCOに関する解説で、JUNO-106の後継機であるαJuno-2ではDCO部分はローランド製の専用チップ(RD87123)に置き換わっている。しかし、直系の後継機種なので、おそらく基本的な方式は同じだろう。
Roland Juno DCOs | Electric Druid
つまり、αJuno-2は周波数はデジタル制御されているものの、信号生成については立派なアナログシンセなのだが、単体での音色編集が難しいためか、同系統のJuno-106と比べると中古市場でもあまり人気が無く、1万円台で取引されているようだ。
なんでいまさらαJunoを入手したかだが、Nord Rack2でポリシンセの代わりにはなるが、パッドやストリングスでもっと「薄い」「暖かい」音のシンセがほしいと思っていて、YouTubeでいろいろ聴いた結果、自分の好みに一番合うのがαJunoだった。
本当のところはもっと場所をとらないラックタイプのMKS-50か、49鍵のJuno-1を狙っていたのだが、前者はやや高価で、後者は出品が少なく、今回のJuno-2入手となった。
ジャンク品なので、到着後は早速内蔵RAMバックアップ用のバッテリの交換、内部の清掃、鍵盤の洗浄を行った。
αJuno-2のメンテナンスは、ネットからサービスマニュアルがダウンロードできる。
もちろん使用説明書はローランドからダウンロードできる(型番はJU-2)。
分解の仕方だが、リアパネル(ジャックのある面ではなく、その下側の面)のネジ、本体下面の丸く凹んでいる部分のネジ、および両サイド下部のネジをはずすと、カバーを開けることができる。

メインボードは、サービスマニュアルに説明されているとおり、キーボードユニットに差し込まれて固定されているので、取り外し方にコツがいる。
バッテリがついているメインボード(上の写真の緑色の基板)は3つのネジで留められているので、これを外す。
また、左側のボード(上の写真の茶色の基板)も外す。
(これを外さないとケーブルが引っかかってメインボードが外せない。)
そして、メインボードをリアパネル方向へ引き抜きながら、キーボードユニットからの3つのコネクタを取り外す。

これでメインボードが露出できたので、バッテリーを交換。
幸い、バッテリーは液漏れは無かった。
リード付きのCR2032が取り付けられているが、電池ホルダに交換した。


さらに、キーボードユニットも取り外して全キーを洗浄した。
キーボードユニットを外すには、下面のネジ(下の写真の凹んでいる部分)およびリアパネル側のネジを外す。


下面とは両面テープ(下の写真の白いテープ)を使って固定されているので、少し力を入れてテープから剥がす必要がある。

キーボードはスプリングを外す。このとき、白鍵と黒鍵のスプリングは分けておく。
そして、裏側でキーを抑えているプラスチックの板を、ドライバーなどで少し持ち上げながら、キーを押し出すと、キーが外れる。

外したキーは、中性洗剤を溶かしたぬるま湯にのお風呂に浸かっていただいて、その間にキーボード内部の埃を清掃。

キーを洗って乾かしたら、黒鍵→白鍵の順に取り付ける。
黒鍵は1種類しかないが、白鍵は複数種類あるので注意。
よく見ると、白鍵のスプリングをひっかける部分のすぐ下に、[G][A][D]などのマーキングがされている。
最後にスプリングをかける。
スプリングは2種類あり、短いほうが白鍵用だ。

これで元に戻して、清掃は完了。
最後に、バッテリー交換後に必要となるRAM初期化を行う。
これはパネルの「PORTAMENTO」と「KEY TRANS」を押しながら電源を入れれば自動で行われる。
(リアパネルにある「MEMORY PROTECT」スイッチはOFFにしておく。)
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