今使えるαJunoの音色編集ツール

αJuno-1/2は1985年に発売されたが、今でも結構使い物になる。
音源モジュールであるMKS-50も同様だ。
その理由は、音に個性があることももちろんだが、MIDIを装備していることと、それ以前に発売されたJuno-106に比べるとVCFチップの故障が少ないことが大きいようだ。
DTM音響機器レビュー Roland αJUNO1/αJUNO2
αJunoでのMIDIの実装はまだ簡素なもので、送受信できるコントロールチェンジは
・モジュレーション(1)
・ポルタメントタイム(5)
・チャンネルボリューム(7)
・ホールド(64)
・ポルタメント(65)
に限定されている。
音色に関するパラメータはSysExでやり取りできるようになっており、それに対応したMIDI信号を送出する専用の音色プログラマ「PG-300」が別売りで販売されていた。
これをJunoのMIDI INに接続すれば音色が編集できる。

現在では、PG-300はオークションに出品されることもあるが、数が少ないためかシンセ本体よりも高価に取引されている。
しかし当然ながら、PG-300相当の機能をソフトで実現することが可能だ。
αJunoのMIDI関連ツールと、さまざまな音色データが、以下のサイトに集積されている。
ROLAND MKS-50 SYNTHESIZER UTILITIES
ROLAND MKS-50 PATCHES AND TONES
ここでは「Ctrlr」と「Alpha-base」の2つのユーティリティを紹介しておく。

Ctrlrは汎用のMIDI音色エディタで、スキンを読み込むことで特定の機器に対応した音色エディタになる。
OSはWindows/Mac/Linuxに対応している。
MKS-50用のスキンがあり、これは同じ音源部を持つαJunoでも使用することができる。
Ctrlrのダウンロードサイトはこちら。
Ctrlr – Control your MIDI life (MIDI editor for all your hardware)
また、MKS-50用のスキンは以下からダウンロードできる。
MKS-50 Advanced Synthesizer Programmer by Bomma72
Alpha BaseはWindows用のエディタ/ライブラリアンで、作者はRyan Wrubleski氏。
サイトは当時はhttp://ww38.auralnebula.net/Alpha%20Base/にあったようだが、今は存在していない。
現時点では、v0.6.1がhttp://www.blazingedgeproductions.com/misc/alphabase_0.6.1.zipからダウンロードできる。
上記のROLAND MKS-50 SYNTHESIZER UTILITIESからも同サイトがリンクされている。

このツールは、音色編集のほかに音色ライブラリの管理ができる。
αJunoはメモリに64音色を保存できるが、SysExでは64音色の丸ごと送受信しかできない。
(1音色だけの送受信は、音色の名前が保存されない。)
送受信は「DATA TRANSFER」と「WRITE」を押しながら「BULK DUMP(送信)」または「BULK LOAD(受信)」を押す。
Alpha Baseのライブラリアンは64音色のセットを複数開いて、それらの間で音色の移動がドラッグ&ドロップで行える。
音色をドロップする場合は、ドロップ先の音色を置き換えるのではなく、挿入されるので、最後尾の音色が消えてしまう点に注意が必要だ。
DELキーを押すと、音色の削除(クリアではなく)が行えるので、「置き換え」を行うにはまず置き換え先の音色を削除し、それから新しい音色を挿入する操作が必要になる。
では最後に有名な「Hoover Sound」のパラメータを以下のビデオから。

DCO RNG = 32′
DCO LFO = 12
DCO ENV = 127
DCO ENV = “Dropping”
DCO AFTR = 00
DCO BEND = 12
PULSE = 03
SAWTOOTH = 03
SUB = 05
SUB LEVL = 03
NOIS LVL = 00
PW / PWM = 127
PWM RATE = 100
HPF FREQ = 00
VCF FREQ = 127
VCF RES = 38
VCF ENV = 00
VCF ENV = “Dropping”
VCF LFO = 00
VCF KYBD = 00
VCF AFTR = 00
VCA LVL = 120
VCA ENV = ” D Dropping”
VCA AFTR = 00
CHORUS = ON
CRS RATE = 90
LFO RATE = 88
LFO DELY = 00
ENV T1 = 50
ENV L1 = 127
ENV T2 = 127
ENV L2 = 127
ENV T3 = 66
ENV L3 = 106
ENV T4 = 47
ENV KYBD = 00

特徴的な「ギュワオウゥ~~~ン」というピッチの上下だが、「上がって」「下がる」のはもちろんわかると思うが、音程的にはおそらく
・DCO ENV = 127だと、多分エンベロープの最大値でピッチが2オクターブ動く
・ピッチの上昇は、ENV L1 = 127なので、基音からまず2オクターブ上まで急激に上昇。
・ピッチの下降は、ENV L3 = 106だが、これは2オクターブ=24半音とすると、おそらく106/127 * 24 = 20半音分のところまで下降。
例えばC4のキーを押したとき、C6まで上がった後、G#5まで落ちてきて止まる、という感じじゃないかと思う。1オクターブ上のブルーノートだね。

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