Arturia MicroFreakレビュー

連休中、ずっとMicroFreakをいじっていた。
そういう意味では、とても「遊べる」シンセだ。
エフェクタがついてマルチティンバー、つまりオールインワンでこのサイズだったら、ポータブルなガジェットシンセとして最強だっただろう。最近値上がりで批判の多いTeenage EngineeringのOP-1を喰っていたかもしれない。
が、まあ現時点ではそこまでのものではない。

出音について

率直に言って、音はそれほど良いとは思わない。コストの制約が大きいのだろうと思う。
ただ、この手のガジェットでありがちだが、ヘッドホン出力の音は良くないので、外部アンプを通して聴かないと実力を見損なう。
音質だけで言えば、スマホのシンセサイザーアプリ、たとえばKORG Gadgetシリーズのほうが良いだろう。
スマホのCPUはちょっと前のPC並みに強力だが、MicroFreakはたぶん、けっこう非力な汎用CPUでがんばって音を出しているのだと思う。FM音源も2OPだし。
4音ポリなので、4音重ねれば厚みが出る、場合もある。
基本的にソフトシンセなので、そのへんはちょっと弱い。
それだけにエフェクタは欲しい。miniKaosspad2をつないでみたが、リバーブやディレイがちょっとあるだけでも違う。

シンセサイザーとして

宣伝ほど変態的ではない。いろいろ詰め込んでいるのは確かだけれど、シンセサイザーとしては正統的で、狂気とか変態とかいうワードは広報戦略だろう。「安くて楽しいガジェットシンセ」じゃアピールしないし。
ただ、オシレータの種類が豊富だったり、マトリクスが柔軟だったり、というのは、ある意味おまけであって、こういうものを増やせば増やすほど、使える音と使えない音という観点では後者の比率が高まっていったりする。
「探検する楽しみ」みたいなものはあるけれど、逆に欲しい音が決まっていたらMicroFreakでは不満が出るだろう。
良い点は、1つだけとはいえ、アナログフィルタをつけたことだ。LPF、HPF、BPFが選択でき、自己発振する。音作りにしっかりした軸を加えている。
MicroFreakに独特の色彩が出せるとすれば、このフィルターの使い方だと思う。ある意味、オシレータはこのフィルターを活かす波形を作るという脇役でしかない。
また、サイクリングエンベロープはなかなか興味深い。エンベロープとLFOを兼ねた使い方が出来、モジュレーションソースとして使い出がある。
不満点と言えば、ノイズジェネレータが無いこと(なぜ?)【追記:ファームウェア更新で追加された】、オシレータシンクやリングモジュレーションなども弱いこと。(オシレータシンクは、無いわけではないが…)
LFOも、もう少し高い周波数が出せれば音作りの幅が広がったはずだが、ここはCPUの能力的な問題があったのかもしれない。

ユーザーインタフェース

MicroFreakのボトムラインは、やはりノブでリアルタイムに操作ができ、キーボードも装備されていて、4音パラフォニック、というあたりだろう。
この点、このサイズ価格でよくまとめたと言えると思う。
操作系は結構時間をかけて練ったのだろう。
ArturiaはMicroBruteにしてもDrumBruteにしても、少ない操作子で分かりやすく使いやすいインタフェースを作るなあと思っていたが、このMicroFreakもよく出来ている。
一点だけひっかかるとすれば、プリセットボタンを回してしまったら編集中の音は消滅する、というところ。ユーティリティのbrowsingオプションから、Click to loadをオンにしておけば、プリセットボタンをうっかり回してしまうというミスからは逃れられる。
どのオシレータも3つのパラメータだけで操作する、というのは割り切りではあるが、考えてみればYAMAHAのReface CSもTEXTUREとMODの2つのパラメータで操作しているので、それほど極端なことをしているわけでもない。

他と比較して

マーケティング的には、同価格帯のMicroKORGと被らないような方向性を目指したのかなと思う。
どちらも4音ポリのバーチャルアナログシンセで、3万円台前半で入手できる。
(MicroFreakはパラフォニックだが、フィルタ以外は4音分装備されているので、それほど制約は感じない。)

MicroFreakは価格帯と機能のバランスでなかなかピンポイントなところを突いている。
ポリフォニックのシンセサイザーとしては、4万円を超えるとKORG minilogueやYAMAHA refaceシリーズなどが出てくるが、3万円台前半だと意外と対抗馬は少ない。
ほぼMicroKORG / MicroKORG XLだけではないかという気がする。
あとは、+5000円でnovation Circuitとか。
正直言って、音はMicroKORGのほうが圧倒的に良い。同じ音色で比較したらMicroFreakは勝てない。MicroKORGはディレイもついているし。
だが、音色編集という面ではMicroFreakが大きく優る。
MicroKORGはミニ鍵盤37鍵、MicroFreakはタッチ鍵盤25鍵。
演奏性はMicroKORGだが、場所を取らないコンパクトさでMicroFreakにも勝ち目はある。
両方持っているので比べてしまうが、サイズ感は大きく違う。
人に勧めるなら、無難なMicroKORGになってしまうが、自分でどちらか一方を選ぶとしたら迷うだろう。

続き↓

Arturia MicroFreakレビュー(2)
Arturia MicroFreakを購入したのは2019年、今から4年とちょっと前だ。 当時、結構気にっていろいろ使いこんでいたのだけれど、4音パラフォニックという限界や、出音のある種のクセみたいなところへの飽きもあって、ここ最近はしまい...

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