Roland U20は私が初めて買ったシンセサイザーだ。買ったのは、もうちょうど30年ぐらい前になる。
当時学生だったが、研究室の先輩に勧められて購入した。研究室にはRoland D20があって、それも良いなと思ったのだが、先輩はU20のほうが音が良い、というので購入。たしかちょうど10万円だった。(定価は16万円くらいだったはず)
キーボードは弾けなかったが、ずっとシンセサイザーが欲しかった。憧れみたいなものがあった。最初は、とにかく音を出すだけで快感だった。気が付くと口が半開きになってよだれが垂れそうになっていた。
U20はRS-PCMという方式で、プリセットサンプラー的なキーボードだった。生音、シンセ、ドラム、いずれも基本的にはサンプリングだが、当時のキーボードは大量のサンプリングデータを生データのまま搭載するとコスト高になってしまうので、データを圧縮して元の波形を再現する。それがRS-PCMだった。この流れは後のベストセラー、サウンドキャンバスシリーズに続いていくらしい。
実際使ってみると、いろいろ不満はあった。ピアノの音が芯のない独特のふわふわした音だし、ベースは重みがない。音作りにフィルタが使えない。エフェクトがリバーブしかない。などなど。
でもこのキーボードでエンベロープ、エフェクト、MIDIなど多くのことを学んだ。音作りの自由度は低かったが、シンセブラスの音にリアルのトランペットのアタック成分を重ねるといい感じの音が出て悦に入っていた。確か6パートのマルチティンバーだったので、Macのシーケンサーと接続してDTMのまねごと(当時DTMという言葉は無かったかも)もやっていた。
U20は思い出があるので捨てられなくて、ずっと保管してあったのだけど、この休みにとても久しぶりに電源を入れてみたら通電しなかった。多分電源回路のコンデンサが駄目にななってしまったのだろう。
修理すればできるかもしれないが、たぶん使いはしない。思い出は思い出として心の中にしまっておくことにして、潔く処分することにした。
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