シグルイ

のだめ以来のコミック大人買い。


シグルイ
(1)〜(8)

著者: 山口貴由 /南條範夫

出版社: 秋田書店


江戸時代、濃尾無双と言われた「虎眼流」剣術があった。

ストイックに技を磨き、ついに虎眼流の跡目ともなろうかという若き剣士、藤木源之助。
その源之助を上回る技と、女を振り向かせる美貌を備え入門してきた天才剣士、伊良子清玄。

技を競い合う両者の確執を封建社会をバックに描きだす。

うーん、こう書いてもこの作品の魅力は伝わりませんな。

何というか、一種異様なコミックだ。
登場人物は皆すさまじい。嫉妬深く、執念深い。
しかも武士なので、武士道的美学によって屈折している。

虎眼流の当主、岩本虎眼に至っては痴呆であり、初登場シーンでは刀を振るいつつ尿失禁。
武士の美学を頑なに守るが故、全く動じる様子を見せない門弟たち。

第一巻に、こうある。
「士(さむらい)の命は士の命ならず。
 主君のものなれば、
 主君のために死場所を得ることこそ
 武門の誉。」
これが美学。

そしてその帰結は、
「封建社会の完成形は、少数のサディストと
 多数のマゾヒストによって構成されるのだ」
となる。

この作品では、そのサド・マゾの部分を存分に描き出している。

加えて、絵も濃い。
異様な世界を受け止めるだけの濃さがある。
闘いのシーンで登場人物の衣服を取り去ってしまう表現手法も、濃さに輪をかけている。
(切腹のはらわたまで描いているのは人によっては駄目かも。私は平気だが…)

という濃い作品なので、万人向けのオススメとは言えないのだけれど、
コミック好きならば読んでみるべき作品だと思う。

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