もうかれこれ15年以上前に買った、古いMacintosh Powerbook 145Bがまだ自宅に残っている。
ディスプレイとロジックボードとHDDはいまだに動作するのだが、トラックボールが壊れていて、ほとんど動かない。
5年ほど前まではたまに使っていたのだが、トラックボールが壊れてはどうしようもない。
もう捨ててもいいのだが、HDDの中に入っているデータを取り出したいので、ずっと保管してあった。
データはMacのソフトで作ったので、そのソフトの上でPC用に変換してやらなければならない。
しかしトラックボールが動かないので、操作もできなくなっている。
キーボードは生きているので、簡単な操作ならカーソルキーとコマンドキーで、できなくはないのだが…。
Apple Desktop Busに対応したマウスがあれば、それを外付けすればトラックボールは使わずにすむ。
といっても、ADBはUSB登場と共に滅んだ規格だから、もう入手できないだろうと思っていた。
しかし調べてみたら、なんと、今でも一部でADB/USB両対応のマウスは販売されていた。
ただし、3000円もする。
探せば、Apple純正のマウスの中古品も入手はできるようだ。
だが、こちらも2000円前後で、送料も入れるとやはり3000円近くなる。
考えた末、PCでMacのエミュレータを動かし、MacのHDDの中身を吸い出してエミュレータで作業することにした。
Powerbook 145BはCPUに68030を使うタイプなので、エミュレータはBasilisk IIというのを使った。
エミュレータを動かすためのROMイメージはMacから吸い出すのだが、Mac自体が操作できないのでネット上で何とか入手。
OSはAppleが無償で公開している漢字Talk 7.5.3を使用。
これで、何とか動作するMacエミュレーション環境ができた。
PowerbookのHDDへのアクセスは、SCSI経由。先日購入したRATOCのUSB-SCSIアダプタを利用。
古い2.5インチ SCSI HDDとPCのSCSIインタフェースとの接続は、普通の人は難儀するところだろう。
しかし、幸いにしてPowerbook用の外付けHDDを持っていたので、これを使った。
最初、うまくつながらなかったのだが、ありあわせのACアダプタでUSB-SCSIアダプタに電力を供給したら動作した。

(右が外付けHDD。白い部分は50pin-25pin変換アダプタ)
直接、内蔵HDDを取り外してこの外付けHDDの箱に入れてもよいのだが、そうするとPowerbookが完全に死んでしまうので、内蔵HDDのイメージファイルを作ってデータを取り出すことにした。
まずHDDのバックアップを作成するソフト「Disk Copy 6.1.3」を外付けHDDの中にインストール。
Disk CopyもAppleから提供されているツールだが、Appleが配布しているものより古いものが漢字Talk 7.5.3とは相性がいいらしい、ということでこれもネット上を探し回って入手。
次に、この外付けHDDをPowerbookに接続して、少しだけ反応するトラックボールを必死に操作してDisk Copyを起動。
これで内蔵HDDのバックアップイメージを外付けHDD上に作成。
再びその外付けHDDをPCに接続し、バックアップイメージをコピーしてエミュレータへマウント。
そのままではエミュレータでブートできなかったので、OSを上書きインストールしたり、あれやこれや…の末、ようやく何とかデータを変換して、PCのファイルとして取り出すことができた。

なお、MacのHDDへはPCからは直接アクセスできないが、フリーソフトで「HFS Explorer」と「HFV Explorer」という2つのソフトがある。
HFS Explorerは読み出し専用だが、イメージファイルではなくディスクそのものにアクセスすることができる。
ディスク全体をイメージファイルとして書き出すことも可能。
HFV Explorerは読み書き両方できるが、イメージファイルしか扱えない。
書き込みは、元のファイルをMacBinary形式にして拡張子を.binにしておくと、Macのファイルシステムに変換してくれるので便利だ。
ディスクそのものにアクセスできて、かつ書き込みもできるソフトとしては、「MacDrive8」がある。
商品だが、5日間だけ機能制限なしで使えるデモ版がある。
このソフトは、イメージファイルは扱えない。
そのほか、StuffIt ExpanderのWindows版もあると便利かも。
ちなみに今回データを救出した、Powerbook内蔵HDDの容量は80MB。GBの間違いではないよ。
外付けの方は、320MB。2台とも、よく10年以上も生きていたものだと思う。
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