最近本屋へ行くと、写真コーナー(写真集じゃなくてね)で時々立ち読みしている。
すると、昔とずいぶん違うなあと思うのが、女性向けの写真技術書の多さだ。
昔はカメラ=機械=男性の趣味、だったのだが、最近はだいぶ様変わりしたらしい。
首に一眼レフをさげている「カメラ女子」なんて言葉も一般化しているようだ。
一世を風靡したhiromixや、いわゆるgirly photoの流れもあったけど、昨今のカメラ女子の
撮る写真は、どうやらそれとはちょっと違うようだ。
最近出たらしい書籍を見てみると、「ゆるカワ写真」を撮ることにフォーカスしている書籍が多い。
ゆるカワ写真とは、ボケが多く、光も色彩も柔らかで陰影を強調しない、優しいトーンの写真らしい。
特に、「ゆるい」=ボケの量が多い、というのがひとつのポイントな感じがする。
ただ、ボケの量が多い写真はケータイやコンパクトカメラでは撮りにくい。
なので、そういったカメラで日常を無造作に切り取るgirly photoとは方向が違う。

D5000 + AF-S DX NIKKOR 35mm F1.8 G
なぜ、ケータイやコンデジではゆるかわ写真が撮れないか。
ボケの量は、
・レンズの絞りをどこまで開けられるか(F値が小さいか)
・レンズの(実際の)焦点距離がどれだけ長いか
に依存する。
上の写真は、D5000で前景も背景もぼかしてゆるカワっぽく撮ってみた。
絞りはF1.8で、焦点距離は35mmだ。
同じことをコンパクトデジカメでやるのは結構難しくて、まず、F1.8のコンデジは無い。
高級コンデジのGR DIGITAL IIIがF1.9。次点はF2.0のPowerShot S90だろうか。
で、コンデジは撮像センサが小さいため、焦点距離がすごく短い。
たとえばGR DITIGAL IIIは6mm、PowerShot S90は望遠端でも22.5mmだ。
カタログに載っている35mm換算での焦点距離は、画角を把握するためのものだが、
ことボケに関しては実焦点距離のほうを見なくてはならない。
しかも、望遠端ではF値が大きくなってしまうのが普通で、たとえばS90の望遠端はF4.9。
要するに、35mm F1.8という組み合わせを得ることはできない。
大きくボケさせるには、F値は大きくなってしまうのを承知で望遠で撮るか、
できる限り対象に寄るしかない。
たとえば、先日掲載した、DSC-HX1で撮影した梅の写真。
これ、背景がボケてくれているのは、実は望遠端(実焦点距離100mm)を使ったから。
100mm、F5.2という組み合わせなのだ。
当然、花からかなり離れて撮っている。
コンデジでゆるかわ写真を撮るには、焦点距離を50〜60mm取って、絞りのハンデを
カバーしたいところ。
焦点距離50mmとなると、10倍ズーム機クラスが必要だ。
フジのFinepix F70EXRみたいに、画像処理でむりやりぼかすカメラも出てきているが、
思い通りの結果が得られるとは限らない。
というわけで、ゆるかわ写真を撮るには、やはり一眼レフ+明るい単焦点が手っ取り早い。
でも、ゆるかわ写真が撮れるコンデジという商品企画があってもいい気もするけどね。
一眼レフのボケをちゃんとシミュレーションして作り出すのは、技術的にもなかなか
チャレンジングな課題のような気がする。
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