RICOH PX 雑感

たまにはリコーPXの話でも。

予想通りというか、PXの使用頻度は低下中。
もともと防水目的で購入したので当然だが、大きさ・重さではE-PL2とIXY 410fに挟まれ、
画質や機能は両者より低いとなると、大きな欠点は無くとも、やはり出番は減ってくる。

が、そういった個人的な事情とは別に、購入してしばらく使ってみて感じたのは、
リコーはどういうコンセプトでこのカメラを作ったのかなあ、という疑問。

というのも、リコーというメーカーはGRDシリーズやCXシリーズ、GRXなど、
どちらかというとアマチュアの中でも少しマニアックな層に評判の良いカメラを
出し続けている。

また、一度出した製品はマイナーチェンジを繰り返して息の長いシリーズに育てる
傾向がある。

そのリコーが敢えて新シリーズとして出してきたからには、それなりの企図があったはず
なのである。

製品発表当時のリリースを見てみる。

デジタルカメラ「RICOH PX」を新発売 / ニュースリリース | リコー

新製品「RICOH PX」は、気軽に使える安心設計に加え、被写体に応じて最適な撮影を行うことができる撮影機能と高速起動により、いつでもどこでも写真撮影を楽しむことができます。また1600万画素の高精細CCDセンサーと画像処理エンジン「スムースイメージングエンジンIV」を搭載することで、高精細画質を実現しています。 さらに操作性と携帯性にもこだわったフルフラットの新たなデザインを採用することで、持ち運びしやすく、オプションのプロテクションジャケットとカメラ本体のボディカラーとの組み合わせを楽しむことが可能です。
 「RICOH PX」は、従来からのリコーデジタルカメラの根底に流れる画質思想を受け継ぎながら、リコーデジタルカメラの新しいシリーズとして、気軽に簡単に写真撮影を楽しんでいただけるコンパクトデジタルカメラです。

もともとは、「気軽に簡単に」「いつでもどこでも」がコンセプトだったらしい。
スポーツとかアウトドアは眼中に無い。

むしろ、CXシリーズで取り込めなかったカジュアルユーザーを狙いたかったのではないか。

それは、このプロモーションビデオからも感じ取れる。

RICOH PX Relay – YouTube

つまり、カジュアルユーザーに対して

「気軽に簡単に」→ シンプルで親しみの持てるデザイン
「いつでもどこでも」→ 防水防塵

という方向でアピールしようとしたのではないか。

しかし発表当初のニュースやレビューでは、この方向感はあまり理解されなかったようだ。
防水防塵が注目され、「タフネス」という、カジュアルとはほど遠い形容詞を冠されてしまった。

これが携帯電話だったら、「防水」はタフネスとは結びつかず、むしろ
「お風呂の中でも使える」
という意味に近い。
つまり「いつでもどこでも」と自然に結びつく。

一方、カメラで防水性能があるのは、これまでアウトドア向けの製品に限られていた。
だから、防水であることで、PXがアウトドア向け製品の一群に組み入れられて
しまったのは、無理もないことではあったが、ある意味不幸なことでもあったと思う。

PXはIXY、Cybershot、LUMIX、といったカジュアル層向けカテゴリの中に入れられるべき
であったし、そうなっていれば「防水防塵」はそのカテゴリの他の製品にない特徴として
見てもらえたことだろう。

アウトドア製品の中に入れられてしまうと、防水防塵は基本機能であり、差別化要因では
なくなってしまう。

結果、「アウトドア用なんだけどデザインはアウトドアっぽくない」という、よく解らない
感じの評価をされてしまったのではないか。

しかし、もっとカジュアルに使ってほしい、という提案自体は悪くなかった。

PXがもっと小さく軽く、価格も最初から2万円程度に設定されていれば、アウトドアとは
異なる製品カテゴリに入ることができたかもしれない。
「いつでもどこでも」を訴求するには、もう一段の小型化は必須だろう。

一方、カジュアルユーザーにとっても、実際には防水が必要となるシーンは多くないので、
「いつでもどこでも」と「防水防塵」の間には開きがある。

また、カジュアルユーザ層にとって、カメラはスマートホンで十分、という可能性も
考える必要があるだろう。
防水のスマートホンにカメラが内蔵されていれば、PXのようなカメラを別に所有する
必然性が無い。

もちろん、iPhoneも含め、防水でないスマートホンも多いが、スマートホンユーザが
敢えてデジカメを持とうとするならば、スマートホンには無い特徴が必要だ。

それを新たに盛り込むことができれば、PXもリコーの他のデジカメのように「シリーズ」
として続いて行くことができるだろう。
初代PXは、どうやら在庫処分モードになっている雰囲気だが、リコーにはもう一押し
して、ネオ・カジュアル・デジカメの新しい製品カテゴリを送出してもらいたい。

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