PCオーディオ向けアンプ選び(6)【終】

PCオーディオの最後のピース、アンプがいよいよ明日届く(予定)。
購入したのは、West River WRP-α9/A、超マイナーな製品である。
WRP-α9シリーズ
WestRiverはほとんど個人商店のような感じのメーカーだ。

オーディオには非常に小規模のメーカーが結構多い。
ちょっと失礼だが、ガレージメーカーなどと呼ばれているようだ。
前回までいろいろなアンプを取り上げてきたが、どうも「これ!」というものが見つからず、いろいろ探している内にガレージメーカーの世界に来てしまった。

アンプ選びの話は今回を最終回として、ガレージメーカーの紹介をしてみる。
ガレージメーカーと言う定義があるわけではないので、ここでは「一般にはあまり知られていない小規模以下のメーカー」ということにしておく。

Nmodeはシャープで1ビットデジタルアンプを開発に携わっていた方が定年退職して興したメーカーだそうだ。
価格が高いのでちょっと候補外ではあるが、最近発売されたX-PW1は比較的小型で、幅210mmのハーフラックサイズのデジタルアンプだ。
X-PW1(1bitデジタルパワーアンプ)発売! | Nmodeの部屋

Nmodeのデジタルアンプ、X-PM2Fの所有者の方が、中華デジアンと較べての感想が下記で読める。
安いデジタルアンプの音
値段分の差があるかどうかはともかく、やはり違いはあるとのこと。

Nmodeと同じく、大手オーディオメーカーの方が興したメーカーとしては、他にマランツ出身の方によるSOULNOTE、ヤマハ出身の方によるFLYING MOLEなどがあり、それぞれに一定の評価を得ているようだ。
Soulnoteのアンプはフルサイズで、Flying MoleにはCA-S3という小型のアンプがあるが、かなり古いモデルのようだ。

ガレージメーカーに惹かれた理由の一つに、意外と小型のアンプが多いという点がある。
エルサウンドは、高音質で小型のアンプを手頃な価格で提供しており、結構利用者も多いようだ。
株式会社エーワイ電子-ディスクリートアンプ パッシブ型プリアンプ製造販売|エルサウンド|エルサウンドの考え方
5Wの小型プリメインアンプ、EPWS-5Vは41,500円。
LINE IN×3と入力切替スイッチを付けると51,500円だ。
10WモデルのEPWS-10DXは69,000円。入力切替なしなら59,000円。
サイズは、EPWS-10が幅22cmのハーフラックサイズ、EPWS-5が幅14cmと小さい。
奥行きはどちらも26cm。
また、EPWS-5を1Wとか2Wなど小出力にカスタマイズできて、小出力にすると音質がアップするらしい。
カスタマイズに応じてもらえるのは、ガレージメーカーならではの特典かもしれない。

EL SOUNDは試聴機の貸し出しも無償(返送時の送料のみ負担)で行われている。
EPWS-5はかなり小型で音も良さそうなので、実は一度お借りしてテストしてみた。
実物を見てみると、端子やボリウムノブにちょっとこだわりが感じられ、安っぽくはない。

音は、透明とか繊細とかいうのとはちょっと違っていて、意外と筋肉質な感じがした。
色づけのようなものは特に無い。
また、小音量時でもちゃんと鳴っている感じがする。

中華デジアンを購入したのはEPWS-5の音を聴いたあとだが、中華デジアンは音量を絞ると何だかヘナヘナした感じになるのと対照的だ。
EPWS-5の出力は、5W×2だが、ニアフィールドで使うにはボリウムが12時でも十分すぎる音量で、確かに一般家庭では通常1W程度しか必要ないということが実感できた。

という感じで結構良い音だったので、EPWS-5Vにするか、EPWS-10DX入力切替無しにするか、しばらく悩んでいた。
ただ、奥行きが26cmあるので、置き場所はちょっと悩ましい。
なるべく音量調節ノブが使いやすい場所に設置したかったが、ディスプレイの下に置くにはギリギリのサイズだった。
また、音は無色で、「どうしてもこれ!」というほどの思い入れは無かった。
そんなわけで、エルサウンドは候補にしたまま、他のメーカーの製品も探した。

シャッツ・グレーバーのDRA-MS1も、小型高音質小出力のアンプだ。
シャッツグレーバー シャッツ・システム MS1
幅と奥行きは20cm、高さは5cmと比較的小型で、価格も36,000円と安い。
試聴してみたいところだが、機会が無かった。
発売されてから10年くらい経過しているようだ。

イシノラボは元サンスイの技術者だった方が運営されているようで、「MASTERS」ブランドでオリジナルのアンプを出している。
AU-890Lは12W×2、幅33cm奥行き23cm高さ9cmの小型のアンプだ。
オーディオのイシノラボどっとこむ – プリメインアンプ“MASTERS AU−900L/T”
そこはかとなくサンスイっぽいデザインで、なかなか良い。

バクーンプロダクツが出している「SATRIアンプ」も比較的小型だ。
バクーンプロダクツ / SATRI倶楽部
SCA-7511 MK3は15W×2、幅23.5cm、奥行29.5cm、高さ7.8cm。
ただ、価格は182,000円からとかなり高額。

デジタルアンプのように、中華製品もある。
「YS1」はLM3886を使ったアナログアンプ。
LM3886搭載 68W×2 高出力アンプ YS1 – .. p41audio .. ピーフォーワンオーディオ – PCオーディオを極める通販サイト
出力は68W×2@4Ωと、かなり大出力だが、サイズは幅18.4cm、奥行き30.1cm、高さ6cmと意外と小さい。
といっても、奥行き30cmは実際には結構大きく感じるはずだが。
そして価格は19,990円、激安である。

もっと高価な製品を出しているガレージメーカーも沢山あるが、候補にするには予算が足りない。

さて、自分が購入したWest Riverのアンプについて。
◆WestRiver ウエストリバー◆  = オーディオアンプ =  パワーアンプ プリアンプ 製造販売 カスタムアンプも受付中!
上記サイトの掲示板を見ると雰囲気がわかるが、このサイトは川西さんというアンプの設計者が運営されている。
ほとんど個人サイトみたいな感じである。
アンプの注文もここから行える。

アンプは受注生産で、製造は上のほうに書いたイシノラボで行っている。
革製品等だと、工房みたいなところで受注製品で作っているところがあるが、その電子機器版みたいな感じだ。
大量生産ではないので、実際にはパーツも1台1台微妙に違ったりするそうである。

購入したのは「ヘッドホンアンプ」とした売られているWRP-α9/A。
実際は、ヘッドホンアンプ・ミニパワーアンプ・プリアンプとして使える一石三鳥のようなアンプだ。
試聴は土日にお店?試聴スペース?まで出かけていけば出来るようだが、それはかなり大変だ。
なので、試聴はしていないが、購入を決めた。

理由はいろいろあるのだが、一つには音質が期待できそうな気がしたこと。
ネット上での数少ないレビューから、このページの評に興味を持った。
WestRiver WRP-α9/Aは凄い・・・ : 心のスケッチ
WRP-α9/A + WRP-Δ6miniを聴く : 心のスケッチ
このブログ主と思われる方がウエストリバーの掲示板にも書き込みされている。
オーディオアンプ WRアンプ掲示板26 コレクタホロワ
ブログのほうでは「Bill Evans “Waltz for Debby”を聴いてみた」とあり、掲示板の書き込みでは「Pat Metheny GroupとSony Clark Trioを聴いてみた」とある。
このへんの曲がちゃんと聴けるなら、私の音楽の志向にも合うのではないかとと思ったのだ。

また、掲示板を読むと設計者の川西氏は毎月クラシックコンサートに足を運んで、アンプの音質の基準にされているとのこと。
さらに息子さんはサウンドエンジニアらしい。
ということで音質はある程度期待できるような気がした。

また、価格も39,800円とリーズナブルだった。
他のガレージメーカーの製品もいろいろ確認した結果、
「シンプルな機能、小出力なら、ある程度高音質のアンプが5万円くらいで作れる、というのが相場なのではないか?」
という印象を持ったので、約4万円という価格は高すぎず安すぎず、ちょうど良いポイントのように感じた。

機能は、ヘッドホン出力、スピーカー出力、プリアウト、ライン入力×2、入力切替、音量調節、と必要にして十分な機能が付いている。
これなら、パワーアンプを足したりヘッドホンアンプとして使ったりもできる。
もしアンプの能力に不満があっても、つぶしが効く仕様になっているのだ。

そして、サイズがちょうど良かった。
WRP-α9/Aは幅22cm、高さ10cmだが、奥行きが17cmと小さい。
この奥行きならディスプレイの下に置けそうだ。

というわけで、EL SOUNDのEPWS-5V、NuForceのIconAmpやあたりも候補だったのだが、最終的にWRP-α9/Aに決めた。
試聴しないで買うのはリスクだが、上述したようにつぶしが効くので、そのリスクは飲み込めると判断した。
さてどうなることやら。

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