KORGのドラムマシン、Drumlogueを購入した。
Drumlogueは最初の発表から実際の発売まで(途中、世界的な半導体不足現象もあったが)2年近い時間がかかり、難産だったと思われる。
その間にElektronがSyntaktを出してきたり、最近はRolandがSH-4dを出してきたりで、ちょっとタイミングを逸した感はある。
minilogue xdの特徴を引き継いだドラムマシンというコンセプトはぶれなかったようだが、シンセとドラムマシンでは音作りが違う。
minilogue xdのVCOは初代minilogueのVCOをShapeパラメータなども含め引き継いでいたが、ドラムマシンにはそれはできない。
では「アナログ」ドラムマシンとしてのdrumlogueの特徴は何か、というと、drumlogueではドラム音を生成するアナログ回路を新しく起こしたらしい。
スネアとロータム、ハイタム、これらは完全に新しく開発したアナログ回路を使っています。一方、バスドラはアナログシンセを使う形にしています。
キック、スネア、ロー・タム、ハイ・タムの4種類の音色を担うアナログ音源は、ARP 2600 MやMS-20 mini、ARP Odysseyを手がけたレジェンド技術者、池内順一氏が開発を担当したもので、豊かな倍音と厚みのあるローエンドが特徴。
この4つのアナログドラムと、PCMチャネルが6つ、それにminiglogue xdと同様のデジタルマルチエンジンが1系統。デジタルマルチエンジンの同時発音数は、利用するカスタムオシレータが求める計算パワーに依存する。
さらにディレイ、リバーブ、マスタの3系統のデジタルエフェクタを搭載。
シーケンサーは64ステップ、チェインさせてソングにすることが可能。
以上がスペック的な面から見たdrumlogueだ。
ちょっと使ってみた初日の感想としては
・ユーザインタフェースは使いやすいけどツマミは足りてない
・小型なのは素晴らしいが、ボタンが小さいのでリアルタイム演奏には向かないかも
・デジタルマルチエンジンは、とりあえずFM音源のベースパートとしては使える
という感じ。
まずユーザーインタフェースについて。
普通にパターンを組むことに関しては他のドラムマシンと変わらない。
音作りは、アナログドラムの基本的なパラメータは下図の青の領域でダイレクトに編集できる。
それ以外のパラメータについては、緑の領域でエディットしたい楽器を選び、ピンクの領域でメニューとダイヤルで設定していく。
この、ピンクの領域の右端にある2つのボタン(上下)でメニュー項目を選択するのだが、このボタンはもう少し大きくしてほしかった。
また、ダイレクトに編集できるパラメータがもう少しあればなあとは思ったが、そもそも現状でもパネルは満員状態だ。
以下の短いビデオで一通りの操作は分かるから、まあよく出来ている方ではないか。
一点、気になったのはパネルの印刷も含めて表示のコントラストの低さで、ぱっと見にはオシャレだけれど、これは暗い所でリアルタイムに操作するには向いていない。minilogue xdもそうだったけれど。
そして、大きさ。
Drumlogueはコンパクトだ。幅は14インチのPCとほぼ同じで、フットプリントはそれよりも奥行きが小さい。
実は今まで購入したArturia Drumbruteも、Behringer RD-8も、その大きさに少し辟易していたところがある。パラメータを全部ノブに出しているから仕方ないと言えば仕方ないのだが、結局のところ使いやすいと思ってしまうのはBehringer RD-6だったりする。
(Digitaktは・・・十分小さいけれど、あれはドラムマシンというよりサンプリング専用コンピュータで、別カテゴリのマシンだと思う。)
drumbruteはRD-6とほぼ同じ横幅で、奥行きは一回り大きい。
この大きさは、コンパクトで気に入った。そういえばminilogue xdも、あのコンパクトさがちょっと受けたところはあるのではないかと思う。
ただ、デメリットはボタンが小さいことだ。
下の写真を見てもらえば分かるが、ミニ鍵盤並みの小ささだ。
ストロークも小さいが、これは意外と入力しやすい。
ただ、ドラムパッドの代わりになるかというと苦しいだろう。私は指ドラマーではないので、あまり論評できないが。
ノブはミキサー部分についてはVolca並みに小さく、半固定と思った方が良いくらいだ。
最後にデジタルマルチエンジン、それにエフェクタだが、これらはDrumlogueを若干グルーブボックス「寄り」にしており、特徴的な部分ではある。
とりあえず一番簡単には、VPM(=シンプルなFM音源)でピコピコ音やベースラインを鳴らすことができる。
ただ、リアルタイムにパラメータを操作するようには設計されていない。シーケンサーにモーションとして音色変化を記録する使い方になるだろう。
シンセサイザーとして見ると、minilogue xdのデジタルマルチエンジンと違って、エンベロープやフィルタやLFOが外部に搭載されていないので、これらもマルチエンジンのパラメータとして編集しなければならない。音作りとしては結構面倒というか、メニューと格闘しなければならない感じだ。
エフェクタについては、Digitaktがディレイ、リバーブ、コンプを備えているので、それを意識したのかもしれない。
提供されているエフェクトは、音は良いが特徴を出すという感じでもないので、このあたりはサードパーティに期待。
総体としては、Digitaktや既存のドラムマシンなどを意識して「いろいろ詰め込んだ感」はある。
アナログドラムマシンでもあり、サンプル再生も可能であり、シンセパートもエフェクトも持っており・・・
方向性としては演奏よりは作りこみに振った感じがするが、それなら内蔵メモリをもう少し多めに持って欲しかったと思う。
詰め込んだ分、コンパクトにはなっていて、Digitaktよりも分かりやすい操作体系で、音は結構良い。
ただ、現状、「これは!」というdrumlogueならではの持ちネタに欠けるという面もある気がしている。
まあもうちょっとメニューのパラメータをいじくりまわして、使い込んでみようと思う。
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