microKORGの音色パラメータ

一日microKORGをいじっていたが、いやあ、これとても良いシンセ。
ロングセラーになるだけある。
けして満点のシンセではないが、ポータブルなシンセだけど音が良い、という明確なコンセプトを高いレベルで実現したところがとても評価できる。
4音ポリで、価格的にはminilogueとぶつかるところではあるが、音の好み次第でminilogueよりもmicroKORGというのはあり得る選択だと思う。
て、だいたいパラメータを理解したのでメモ。
■全体構成
音源部、エフェクタ、ディレイ、イコライザという構成になっている。
音源部はシンセサイザとボコーダーのいずれかが選択可能。
パラメータは両者で若干異なるので、パネル上も両者のパラメータが併記されている。
緑色のほうがボコーダー。

エフェクタは、コーラス兼フランジャー、アンサンブル(マルチのコーラス)、フェイザーの3つから選択。リバーブは無い。
ディレイは、ステレオディレイ、クロス(ソースと左右逆のディレイを出力)、L/R(左右に振る)が選べる。
イコライザは1KHz以下(ロー)と1KHz以上(ハイ)の2バンド。
■シンセサイザ

オシレータ、フィルタ、アンプというベーシックな構成。
1音あたり、オシレータは2つ。
同時発音数は4音で、それぞれ独立して使うシングル構成と、2音をセットにするレイヤ構成を選択可。
発音モードはモノ/ポリを選択でき、レイヤ構成の場合1つのレイヤをモノ、もう一つのレイヤをポリ、という使い方も可能。
●オシレータ波形
オシレータは2つで、両者は同等ではない。
OSC2に使えるのはSAW、矩形波、三角波のみ。矩形波のPWMも指定できない。
OSC1は、上記に加え、サイン波、VOX(人声風にフォルマントがかかった音)、DWGS(64種の倍音加算型デジタル波形)、LPF付きホワイトノイズ、2チャンネル分のオーディオ入力が使用可能。
また、各波形に対する以下のようなパラメータ指定ができる。
SAW:1オクターブ上の波形とのミックス
矩形波:PWM
三角波:1オクターブ上の波形とのミックス
サイン波:OSC2の波形によるクロスモジュレーション
VOX:フォルマントの変化
ホワイトノイズ:カットオフとレゾナンス
オーディオ入力:2チャンネルのミックス比率
さらに、上記のパラメータをLFOで揺らすことも可能。
●リング/シンクモジュレーション
OSC2をOSC1のモジュレーションソースとして使用できる。
モジュレーションの種類はリング、SYNC、リング+SYNCの三種。
オフならOSC1とOSC2が単にミックスされる。
●ピッチとデチューン
どちらのOSCも、2オクターブの範囲でのトランスポーズ、ポルタメントタイム、ベンドレンジ、ビブラートを指定可能。
OSC2はOSC1に対して2オクターブの範囲でデチューン可能。
●ホワイトノイズ
ただのホワイトノイズ。ミックスレベル以外のパラメータは無し。OSC1のホワイトノイズ波形とは独立。
●フィルター
24dB/oct LPF、12dB/oct LPF、12dB/oct BPF、12dB/oct HPFの4種類から選択。
レゾナンス付きで、自己発振あり。
カットオフ周波数はエンベロープジェネレータ(EG)および音高で変化させることができる。
EGは普通のADSRタイプ。ノートON時のリトリガーの有無を指定可。
●アンプ
音量、パンの指定とディストーションのON/OFFが指定可能。ディストーションレベルはミキサー側の音量レベルで調節する。
音量はEGおよび音高で変化させることができる。
EGは普通のADSRタイプ。ノートON時のリトリガーの有無を指定可。
●LFO
LFOは2つで、選択できる波形が異なる。
LFO1はSAW、矩形波、三角波、ランダム(サンプル&ホールド)。
LFO2は矩形波のプラス側のみ(山と谷の差分がLFO1の半分)。三角波が無く、サイン波が指定可。
LFOの位相は、同期なし、最初のノートオンに同期、全てのノートオンに同期、の3種類から選択。
周期はクロックに同期、アルペジエイターに同期、設定値、の3種類から選択。
●バーチャルパッチ
4つのパッチを使用可能。それぞれのパッチは、8つの入力のどれかと8つの出力先のどれかを指定したレベルでリンクする。
入力(ソース)は
フィルターEG、アンプEG、LFO1/2、ベロシティ、キー音高、ピッチベンド、モジュレーションホイール
のいずれか。
出力先(デスティネーション)は
ピッチ、OSC2のデチューン、OSC1のパラメータ指定値、ノイズレベル、カットオフ周波数、アンプレベル、パン、LFO2の周期
のいずれか。
■ボコーダー

ボコーダーは8バンド。シンセ部分からOSC2およびバーチャルパッチを取り除き、フィルタの代わりに8つのバンドパスフィルタで構成されたシンセシスフィルタを入れたものと思えば良い。
●モジュレータ/キャリア
モジュレータはオーディオ入力1を使う。
モジュレータソースおよびモジュレータソースをHPFに通したものをボコーダーの出力にミックスできる。
モジュレータのゲートタイムとスレッショルド、HPFのミックスレベル、HPFのゲート条件(ノートオン時のみミックス/常にミックス)を指定可能。
キャリアにはOSC1、ホワイトノイズ、オーディオ入力2をミックスして使用可。
OSC1はシンセサイザ部と同じ。
同時発音数は4音で、レイヤ構成は使用できない。
●シンセシスフィルタ
シンセシスフィルタは、フォルマント周波数をシフトするフォルマントシフト、バンドパスフィルタのカットオフ周波数とレゾナンス、モジュレータの音量レベルへの感度を指定できる。
この「音量レベルへの感度」は、値が小さいほど感度が高い。逆に言うと、大きいほど入力レベルに無関係になり、最大値にすると現在のモジュレータの周波数分布を保持しつづける。
本体中央上部にある「FORMANT HOLD」ボタンを押すと、自動的にこの感度設定が最大値になり、バンドパスフィルタの特性がその瞬間のモジュレータの周波数分布で固定されるので、以降はモジュレータ音声を入力せずに演奏することができる。
フィルタのカットオフ周波数は外部信号でモジュレーションをかけることができる。モジュレーションの入力(ソース)は、パッチの8つの入力のうちフィルタEGを除いた7つ。
シンセシスフィルタは8つの独立したバンドパスフィルタで構成されているが、この各フィルタを通って出てくる信号を「チャネル」と呼ぶ。
各チャネルごとに、パンと音量レベルを設定することができる。
●アンプ
アンプ部はキャリア側音量、モジュレータをそのまま出力する音量、ディストーションのON/OFFが指定できる。音量はEGと音高で変化させることができる。
パン設定はアンプ部ではなく、フィルタ部でチャネルごとに設定する。
EGおよびLFOはシンセサイザ部と同じ。
■演奏入力
キーボード、MIDI、アルペジエータから演奏できる。ペダル入力端子は無い。
MIDIの入出力は、アルペジエータを通る前、通った後のいずれかに接続される。後者の場合、アルペジエータは本体キーボードからのみ利用可。
●キーボード
ベロシティカーブあり、固定値(指定可)のいずれかを選択。ベロシティカーブは1通りしかない。
●アルペジエータ
6通りのアルペジオパターン、1~4オクターブの音域を指定できる。
アルペジオパターンは、アップ、ダウン、ランダムのほか、アップダウン(最高音と最低音は1回ずつ発音)、アップダウン(最高音と最低音は2回ずつ発音)、トリガー(押さえている鍵全てをリトリガー)がある。トリガーでは音域指定は無効。
また、以下の設定が可能。
・レイヤー設定された音色の場合、2つのレイヤの一方だけにアルペジオをかける
・鍵盤をオフにしてもアルペジオを継続させる
・偶数番目の発音タイミングをずらしてスイングさせる
・1番目~8番目までの任意の発音をオフにする
■その他
●工場出荷時の設定に戻す
まず、本体メモリのライトプロテクトをオフにする。
SHIFT+8を押してから、左端のノブを回して「oFF」を選択する。
次に、SHIFT+7を押してから、設定対象のデータを左端のノブで選択する。
選択できるのは「1Pg」(1 program=1つの音色のみ)、「Prg」(Program=全ての音色)、「GLb」(Global=グローバル設定)のいずれか。
「1Pg」を選択した場合は、左から2番目のノブで対象の音色を選択する。
キャンセルするにはSHIFTを押す。書き込むには7を押す。
◎感想
パラメータ自体は概ねオーソドックスなものだが、音高によって音量調節ができるのがちょっと珍しかった。
これとイコライザを組み合わせて、低音の量感がある音色を作ることができる。
バーチャルシンセは低音部が軽くなりがちな印象だったが、microKORGはこの仕組みでそこらへんうまくかわしている感じ。
あと、プログラムが保存できるのはやっぱり便利。reface CSもMicroBruteもこの機能はないけど、microKORGは複数ティンバーをレイヤーできるので、保存機能を持っておくべきだろう。
音色については以下のサイトにいろいろなサンプルがある。
動画もあり、おすすめ。
The Microkorg Cookbook

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勇者カズ坊★

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