ラジカセ、なんていうと年齢がバレてしまうが。
ラジカセすなわちラジオ付きカセットテーププレーヤー、後にはCDプレーヤーも搭載されたCDラジカセ、一般的だったのは2000年代前半頃までだっただろうか。その後、次第に音楽の流通はネットに代わっていき、CDもラジオも衰退して当然ながらCDラジカセも衰退した。(最近カセットテープやLPレコードは一部で人気を博しているそうだが、それはまあニッチな話だろう。)カメラがフィルムからデジタルへ移行したのと同じくらいの時期、音楽流通のメディアも変わっていったように思う。
そんな古き良き(?)家電ジャンルであるラジカセを、東芝が今も販売していた。しかも往年の東芝のオーディオブランド「Aurex」のブランドを付与して。
個人的には別にAurexのファンというわけでもないのだが、製品がちょっと良さげだったの購入してみた。TY-AN2はCDプレーヤー、FM・AMラジオ、Bluetoothスピーカー機能、Bluetooth送信機能、ステレオスピーカーがついた、まさにラジカセの生き残りというべき製品だ。
もともとは、スマホの音楽をBluetoothスピーカーに送るように、CDプレーヤーから送ることができる製品はないか?ということで探していた。もちろんそういう製品は5000円程度でたくさん見つかるのだが、5000円も出すならトータルで満足できるものを、と思っていろいろ探していたところ、この製品に行き当たった。
スペックは、箱に印刷されている内容が必要にして十分な情報。
価格は8700円と若干高くなるが、日本メーカーの製品だし、ポイント10%や200円引きクーポンなどが付いたので、機能を考えるとそれほど高いとは感じない。ちなみに、同じシリーズには録音機能やリモコンを追加した上位機種もあるが、自分には必要ないのでこちらの機種を選択。
単体ではCD、ラジオ、LINE-IN、Bluetoothからの再生が行える。CD再生は普通。ラジオはFMが2つ付いていて、受信できる帯域は同じなのだが、それぞれに5チャンネル分の周波数をボタンでワンタッチで呼び出せるので、FMについて10チャンネル分をボタンに登録可能。
スピーカー口径は4㎝で、マグネットがネオジウムなので音質が良いのだそうだ。といっても口径が口径だけに、カマボコ型の帯域特性で低音はあまり出ないが、音が割れたり変にシャカシャカしたりということはない。個人的にはサイズと価格を考えたら全くOK。
本体にイコライザがついていて、フラット/ロック(高・低強調)/ジャズ(中域強調)/クラシック(中・高強調)の選択ができる。簡易的に周波数特性を測ってみると、こんな感じだった。歪んだりビリついたりする周波数も若干あるが、まあプラスチックのこの筐体では仕方ない。
FLAT
ROCK
JAZZ
CLASSIC
もともとの目的である、音声の外部Bluetoothスピーカーへの送信も特に問題無し。どうやってBluotoothペアリングをするのか気になっていたのだが、まずBluetoothスピーカー側をペアリング待ちの状態にしておいて、この製品をBluetooth送信モードにすると、一番近い(おそらく、電波の一番強い)Bluetoothスピーカーと自動でペアリングする。
ちなみに、LINE入力があるので、任意の音声を送ることが可能だ。つまりBluetoothトランスミッタとしても使うことができる(トランスミッタにしてはサイズは大きいけど)。
もちろん、Bluetoothスピーカーとしての利用もお薦めだ。ノートPCやスマホの外部スピーカーとして手軽に利用できる。自分はCF-SV7の内蔵スピーカーがかなりイマイチなので、これと組み合わせたりしている。
あと、電源は電池の他にAC電源も使えるのだが、電源回路を本体に内蔵しており、ACアダプタではなくメガネケーブルでの接続となる。これは個人的には好感触。ACアダプタは無くしやすいし、持ち運ぶとなるとかさばるので増やしたくない。消費電力は15W。
というわけで、忘れられたジャンルといっても過言ではないラジカセだが、なかなか良い製品だった。このスペックに興味を持ったならお勧め。
ちなみに、このサイズで音質を追求するなら、iLoudを中古で買う(販売終了してるので)しかないんじゃないかな。ただ、iLoudは音はいいけど、ACアダプタが重くてかさばるのが難点。
左:iLoud 右:TY-AN2
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