発売以来、ずっと逡巡していたのだが、やっとMeta Quest3を購入した。現行は512GBモデルしかないので、当然512GBモデルだ。あと、ヘッドストラップはマストだと皆言っているので、Kiwi K4 Boost Quest 3 Battery Headstrap Comfortというのを買った。
とりあえず最初のチュートリアルだけでも、画質の良さとソフトウェアの作りの良さには感心させられた。が、まあ今さらレビューしても付け加えることはあまりないので、ちょっと自分語りしてみる。
初めて店頭で試用してみたとき、カメラパススルーの画質に驚いた。具体的なアプリケーションがあるわけではなかったが、自分がサイボーグになったかのようなあの感覚。
しかし購入はためらわれた。手が出ないわけではないが微妙に高価だったからだ。
Quest3sが発売されて、かなり価格面では手が届きやすくなった。しかし、試用してみるとQuest3より明らかに画質は劣る。巷では、あまり違わない、これで十分、という意見も多く見かけるが、それは「アプリケーションを使う場合には」という前提つきだと思う。純粋に画質だけを比較したら、やはり光学系がしっかりしているQuest3が優る。
なのでQuest3sは見送りとして、Quest3を考えていたのだが、81,400円は安くはない価格だ。まあ、価格コムを見るともっと安く売っているところもあるのだが、Metaのサポートは最悪という話も聞くし、正規販売代理店以外からの購入はリスクがある。
と思っていたのだが、先日Amazonで77,000円で販売されているのを見つけ、これはめったにないチャンス、と即買いした。Amazonポイントが1%つくので、それも含めれば安く売っている非正規販売店と大して変わらない値段で購入できた。ちなみに3sは今も4000円オフになっているが、3のほうはすぐに元の値段に戻ってしまった。ヘッドストラップはセール価格で8000円。計、85000円を投資した。
購入を逡巡していたもう一つの理由は、
「結局、広視野角による『没入感=錯覚』が全てなんでしょ?」
という(やや)冷めた感想を拭い去れないところだ。
初代Oculus Rift Dk1を購入したのは12年前だった。Dk2を買ったのも、もう10年以上前になる。広視野角・両眼視による「3D空間へ没入した錯覚」の体験は楽しいもので、いろいろなアプリケーションの記事は当時結構書いた。


だが、結局その錯覚体験を消化してしまった後で考えたのは、「でも、普通のディスプレイでも同じタスクはこなせるよね?」ということだった。
おそらくVRと最も相性が良いのはゲームだと思うが、そのゲームでさえ、「VRが必須」とまでは言えない。HMDよりもビデオカードやPCに投資したほうがエクスペリエンスの質は上がる。
なので、その後HMDには手を出さなくなった。
その間、OculusはFacebookに買収され、FacebookはMetaとなった。その後のMetaは意外とがんばって、Oculus Riftの後継としてほとんど毎年のようにHMDの新製品を発売しているし、ザッカーバーグもHMDにはまだまだ入れ込んでいるらしい。確かにMetaは、HMDにものすごい投資をしている。それは間違いない。
他にもPicoとかPSVRとか、HMD製品はそれなりに出てきてはいる。でもiPhoneが引き起こしたようなブームにはなっていない。
それは、結局「錯覚」という以上の価値をHMDが提供できていないからなのではないか。例えばHMDはまだ、PCやスマホを置き換えるには至っていない。
じゃあ何故、今自分はMeta Quest3を買ったのか?
一言で言えば、「今買わなかったら、もう一生手を出さないかも」と思っているから。
Metaも、おそらくずっとQuestに投資し続けるわけにはいかないだろう。Oculusを買収したのは2014年で、もう10年が経った。MetaはInstagramのおかげか、まだ儲かっているようだが、生成AIでガラリと世の中が変わりつつあるなか、ビジネスモデルがどうなっていくのか不透明感もある。

もしMetaがHMD事業を終了したら、後継者は出るのだろうか? 結構疑問だ。そして、そうなってからHMDに手を出しても仕方ない。
手を出すなら、まだ賞味期限がある「今でしょ」なのだ。
まだ市場が元気なうちに、HMDの「可能性」を確認しておきたい。
カメラパススルーを使って、現実のPCをHMDの中で操作するのは現実的なのか。
VRChatにまだ大化けする可能性は残っているだろうか。
HMDならではのアプリケーションはあるのだろうか。
おそらく、勝率はあまり高くないと思うが、バーチャルリアリティというコンセプトには、まだ夢を感じているんだよね。
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