「路傍のフジイ」という漫画がある。主人公のフジイはちょっと変わっている。
フジイは善良で寡黙で、どちらかといえば行動の人だ。自分が良いと思うことををやり、それで満足している。承認欲求のようなものは無いようだ。
他人がやってほしいと思っているであろう、ということをやるのではなく、自分がやりたい、やるべきだと思ったことをやる。
他人が言ってほしいと思っているであろう、ということを言うのではなく、ただ自分が思っていることを言う。
こんなシーンがある。
同じ職場の若い女性が、ふとしたことから、フジイに打ち明け話をする。
以前は夜の街で、体を売っていたことがあったのだ、と。
そしてフジイに
「良くないですよね、そんなこと」
と言う。
フジイは
「僕にはわからないです。すみません。」
と答えた。
女性はその答に、ちょっとホッとした表情をして、「そうですよね」と言う。
フジイは他人をジャッジしない、のみならず過剰に他人に寄り添うこともない。周囲はあるときは突き放されたように感じ、あるときは救われるように感じる。そして最終的には自分を取り戻す。
このフジイ、今の生成AIへのアンチテーゼのようにも感じられる。ChatGPT以前から連載されている作品なので、実際にはそうではないのだけれど。
生成AIは、フジイのように「僕にはわからないです。すみません。」という正解を返すことができるようになるだろうか。


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