PCオーディオ向けアンプ選び(5)

デジタルアンプはこれまで紹介した中にも含まれているし、前回紹介したように真空管プリ+デジタルパワーというハイブリッド構成の製品もある。

そういったものとは別に、中国製の安価なデジタルアンプ、通称「中華デジアン」が色々と出回っているので、番外編としてちょっと書いておく。

そもそも「デジタルアンプ」とは何か、ということだが、アンプにCPUが入っているわけではない。
また、デジタルだから音が乾いているとか、そういう話でもない。
実際、デジタルアンプとアナログアンプは評論家諸氏でも聴き分けは困難だという話もある。

アンプのブラインドテスト

音質はひとまず措いておいて、デジタルアンプの原理を紹介しておこう。

デジタルアンプは、入力信号を使って、数百KHzの搬送波を変調し、増幅後に復調して元の波形を取り出す。
その際、変調方式としてPWM(パルス幅変調)を使うのだが、PWMでは信号自体はオンとオフ、1と0の2種類しかない。

1と0しか無いのに波を再現できるのは不思議に思われるかもしれないが、PWMの原理は簡単で、単位時間の波の高さが0.0〜1.0で表現できるとすると、PWMではこの数値が、信号が1の時間と0の時間の比率(デューティ比)に変換されるのである。

デジタル-アナログ変換回路 – Wikipedia

まあこれだけだと、デジタルというより「スイッチングアンプ」ではないか?とも思うし、実際「演算で値を求めていないものはデジタルアンプではない」とする意見もある。

TA-DA9000ES勉強会

ここでは「いわゆる(中華)デジタルアンプ」の話を書いているので、「デジタルアンプの定義」についてはひとまず措いて、これ以降もPWM方式のアンプのことをデジタルアンプと呼ぶ。

デジタルアンプでは、1と0しかないので、増幅の過程でノイズが乗ってきたりする可能性が非常に低く、クリアなサウンドが得られる。
また、1と0しかないと電力使用の効率が良く、省電力のアンプになる。

ここ数年組み立てキットや中華デジアンで広まっているTripath社のTA2020系のチップは、このデジタルアンプをワンチップにしたもので、外付け部品点数が少なく省電力で、組み立て時の調整項目も少ないアンプが設計できる。
Tripath社自体はもう倒産して買収されたそうで、消息についてはこちらが詳しい。

Tripath : MusicArena

では肝心の音質はどうか? ということだが、数千円で買える中華デジアンは、ノイズが少なくクリアな音で、かつスピード感がある、などと論評されている。

実は私もTA2020がどんな音を出すのか、好奇心を抑えられず、安い製品を1台買ってきたのだが、まだ聴き始めたばかりなので、音についてはまた別途書く。
ただ、現時点での印象は

「確かにクリアで帯域もフラットで、値段を考えれば上出来だけれど、1万円以上出すようなものでもないなあ」

というものだ。

例えば、もし3万円の予算でスピーカーとアンプを買う、というのであれば、どこかに重点投資しなければならない。
その方法として、スピーカーに25,000円、ケーブルに1,000円、中華デジアンに4,000円、というのは一つの考え方だ。

その場合、購入する場合はできるだけシンプルな、アナログ入力のみのものが良いと思う。
DAC内蔵のもの、USB接続できるものなどもあるが、アンプ部分と一蓮托生にしてしまうよりも、安物でも別に購入することをお勧めする。
ただしACアダプタは同梱されているほうがよいだろう。

という基準に合うものをピックアップすると、たとえばこんな感じになる。
ちなみに私が購入したのはMuse AudioのM20 ex2。

上記とは別の考え方としては、スピーカーはフルレンジのユニットで自作、アンプはmarantzのPM5004やパイオニアA-10などエントリークラスのきちんとした製品か、アウトレットや中古で質の良いものを購入するというやり方もある。
スピーカーの設置など、いろいろ自分で工夫できる人には、このやり方も良いだろう。



オリジナル AA-1101 ペア – コイズミ無線NET

という具合でいろいろ書いてきたが、購入するアンプはまだ決まっていない。
今のところ有力候補は、実はいままで紹介してきた中には入っていない。
年末年始に入ってしまったので、実際に購入するのは年明け以降になるだろう。

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