Bluetoothポータブルスピーカーの周波数特性を調べてみた


先日、SONYの廃盤のBluetoothスピーカー「SRS-X1」を購入したが、ちょっと周波数特性に違和感がある、という話を書いた。

その後、同じく昔の商品だがTDKの「trek micro A12」というスピーカーも音質が良いと言われていることを知り、試しにメルカリで購入してみた。(1400円くらいだった)

ちなみにこのTDKのシリーズはバッテリがリチウムイオンではなくメモリ効果の出てしまうNiMHバッテリで、使っているとどんどんバッテリがヘタってしまう。入手したものも、バッテリはほぼ死亡状態だった。

が、音質は確かに良く、ちょっと驚いた。低音はそれほどではないものの、かなりフラットな周波数特性で、SRS-X1のような嫌な歪みは無く、比較したら音質的な好みとしてはA12が間違いなく上。

A12がなかなか良い音だったので、同じシリーズのもう少し大型の製品「A33」も同じくメルカリで購入してみた。

こちらは筐体に容積がある分、低音が少し強くなっている。といってもドンシャリではなく、カマボコの低周波部分が伸びた感じ。

調べてみると、このシリーズの製品は発売はTDKだが、開発はTDKから事業を買収したイメーションが行っている(撤退済み)。以下の記事によると、製品のコンセプト「TDK Life on Recordシグネチャーサウンド」としてフラットな周波数特性を掲げていたようだ。正確には、若干右肩上がりのカマボコ型という感じらしい。

【レビュー】TDKブランドの全天候仕様アウトドアBluetoothスピーカー「A33」を試す~外観・基本性能編
イメーションさんから、TDK Life on Record Bluetooth Speaker Seriesのアウトドアワイヤレススピーカー「A33」のデモ機を貸し出していただきましたので、簡単ですがレビューをお届けしたいと思います。 TD

実際の特性がどんなものか、気になってきたので、スイープ信号とWaveSpectraを使う以下の方法で、10年ぶりくらいにスピーカーの周波数特性を計測してみた。

スピーカーの周波数特性の測定
引き続き、バッファローの1000円スピーカー、BSSP21Wの話。 どうも聴き疲れがするし、ピアノやボーカルの音にコシが無いので、存在感が希薄。 音のバランスに問題があるのは明らかだ。 そこで、先週紹介したWaveGeneのページにあった、...

計測範囲は40Hz~20KHz。ただしマイクにはYeti Blueを使った、簡易的な計測だ。まあ傾向の違いは分かるはず。なお、WaveSpectraのページは消滅しているっぽいのだが、測定方法はこちらの記事が参考になるだろう。

まず、比較用として、安くて音が良いと言われているロジクールの安い有線スピーカー、Z120BW。


150Hz以下は出ていないし、フラットとも言えない特性。変な歪みが無いのが取り柄だ。トークの聴取には良いが、音楽やゲームには少々物足りない。

次に、SONY SRS-X1をAUX INで鳴らしてみた場合。


低域を頑張って伸ばしている。ただ、このグラフでは分からないが、3KHz近辺に顕著な歪みが出る。これは測定中のグラフを見ていると入力信号の高調波成分が出現するので判る。おそらくディフューザーが悪さをしているのだと思う。低音が比較的出るのと、中広域が歪みによって強調されるのが相まって「良い音」と思う人もいるかもしれないが、人工的な音だ。

ではTDK trek micro A12だ。


低域はSRS-X1ほどではないが、うたい文句通り右肩上がりのフラットで、SRS-X1のような変な歪みも無かった。低音が物足りないが大きさの(特に、容積が小さい)割に意外にも良い音、と言えるだろう。

次にTDK A33。


A12よりも低域が大きく伸びており、SRS-X1よりも優秀だ。特性は右肩上がりというよりフラットに近い。確かにこれもサイズの割に良い音と言える。トークから音楽まで、何でもそこそこ楽しめる音質だ。

ついでに、以前購入したオーディオテクニカのアクティブスピーカー、AT-SPB30とAT-SPB50も調べてみた。
まずAT-SPB30。



このスピーカーはバスブースト機能が付いており、上のグラフはバスブースト無し、下のグラフはバスブースト最大。
特性は非常にフラットで、バスブースト最大にすればA33と同じくらい低域も伸びる。
素性の良いスピーカーだと思うが、A33と比べると一回り大きく、モノラルで、音量調節も無い、というあたりが欠点。

最後に、同じオーディオテクニカのATH-SPB50。これも廃盤商品だ。ステレオで、音量調節があるが、サイズは大きい。(写真は左がSPB50、右がSPB30)買ってはみたものの、ちょっと使いどころがなくて、しまいっぱなしになっていたもの。


さすがにサイズなりに低域が伸びているが、ちょっと盛り気味になっている。音質よりパワフルさを求めて方向へ振っている感じがする。

という感じで比べてみたが、しばらくテレワークPC用のスピーカーにA33を使ってみようと思っている。
AUX INで普通にPCから鳴らせるし、音量調節もできて、比較的コンパクトだが音が良い。また、PCを使わないときにBluetoothスピーカーとして使うこともできる(同時に鳴らすことはできず、切り替え式)。

最近の評判の良いBluetoothスピーカーもどんな感じか気にはなるが、あまりいくつもスピーカーがあっても仕方ないしなあ・・・。

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